ホーム診療科・部門専門外来かくれGERD・かくれ逆流性食道炎外来

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かくれGERD・かくれ逆流性食道炎外来

胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)は、日常生活でよく遭遇する疾患で、胃酸を含む胃内容物が食道に逆流し、食道炎または胸やけや呑酸など症状のうち、両者またはいずれかが生じる病気です。その有病率は20%程度とされ、その要因は、食後すぐに横になるなどの生活習慣や激しい運動、高脂肪食、過食、肥満、円背、ストレス、ヘリコバクターピロリ感染率の低下、胃排出能力の低下などと言われています。

GERDの典型的な症状は胸やけ・呑酸(のどの辺りや口の中が酸っぱいと感じる、あるいは胃の内容物が逆流する感じがする症状)ですが、胸痛、咳嗽、咽頭喉頭異常症(のどがイガイカ、何かつかえた感じ、ものが飲み込みにくい)などを認めることもあります。

GERDの診断は、まずは詳細な病歴を聴取することで行います。しかし、病歴のみによる診断率は70%と低いため、上部消化管内視鏡(胃カメラ)による食道粘膜傷害の評価が必須となります。

GERDの治療は、食事や生活習慣の改善(具体的には、食事の摂取量を抑え、特に脂肪分が多い料理を控える。食べてすぐ横になるのを避けるなど)に加え、胃酸の分泌を抑える薬(カリウム競合型アシッドブロッカー[P-CAB]やプロトンポンプ阻害薬[PPI])で行います。

しかし、実は、GERDには、胃カメラで食道粘膜傷害がみつかるもの(逆流性食道炎)だけではなく、見つからないもの(非びらん性胃食道逆流症non‒erosive esophageal reflux disease:NERD)が含まれています。このNERDがGERDに占める割合は60%と言われ、GERDの患者さんの中には胃カメラで診断できない方が半数以上おられることになります。

このNERDはさらに、① 病的な食道酸曝露を認める真のNERD(狭義)、② 病的な食道酸曝露は認めないものの、症状がGERと関連性を認める逆流過敏性食道(reflux hypersensitivity:RH)、③ 症状がGERと無関係である機能性胸やけ(functional heartburn:FH)に分類されています。

上記のNERDの鑑別診断は胃カメラでは出来ないため、食道インピーダンスpH検査や高解像度食道内圧検査などによるさらに詳しい検査が必要となります。 食道インピーダンスpH検査とは、7つのインピーダンスセンサーと2つのpHセンサーを食道に留置し、金属電極間での交流電流への抵抗を測定する検査法です。 食道インピーダンスpH検査を行いますと、食道内容物の酸性度に関係なく、食道内の逆流の程度、異常なげっぷがないか、食道の運動異常があるのか、お薬が適切に効いているのか、見えない食道炎の程度、など、胃カメラでは分からない食道内の細かな情報を捉えることが可能です。

しかし、食道インピーダンスpH検査は、上記の様に食道内で起こっている多くの情報を捉えられる一方で、その検査結果の解析が難しいため、あまり広く普及しておりません。当院の小児外科医は、この食道インピーダンスpHモニタリングの診療経験を豊富に有しており、検査結果の解析に関してはエキスパートです。かかりつけの先生にGERDと診断されてお薬で治療を受けているのに症状が改善しない、胃カメラでGERDではないと言われたけど症状が改善しない、咽頭喉頭異常症がGERDによる症状かも知れない、などの症状でお困りでしたら、是非、かかりつけの先生にご相談の上、当院の外来を受診頂けますと幸いです。

医師紹介

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小児外科部長 深堀ふかほり すぐる

平成9年医師免許取得

専門領域
消化管機能(成人・小児)、小児外科
専門医等
日本消化管学会専門医・指導医、医学博士、日本外科学会専門医・指導医、日本小児外科学会専門医・指導医、日本小児血液・がん学会小児がん認定外科医、日本静脈経腸栄養学会認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本消化管学会胃腸科指導医
所属学会
日本消化管学会 (代議員) 、日本外科学会、日本小児外科学会 (評議員)、日本臨床栄養代謝学会、日本小児・血液がん学会 (評議員)、日本内視鏡外科学会、日本小児栄養消化器肝臓学会、Pacific Association of Pediatric Surgeons (Member)、九州外科学会(評議員)