専門外来

フットケア外来

フットケアとはその言葉の通り、足をケアすることです。その内容はエステや美容的なものなど含めると様々存在しますが、病院で行うフットケアはメディカルフットケアと呼ばれ、足病変の治療または救肢を目的としています。当院のフットケア外来ではリスクの高い疾患(糖尿病、血行障害など)をもつ患者さんのみならず、一般の患者さんも対象として予防、治療を行っています。

診療の内容

当外来では、以下のことを中心に行っています。

■ 定期的な足の皮膚・爪の診察、診断、治療
■ 免荷療法 … オーダーメイドの、靴、インソール(中敷き)作成
■ セルフケア指導 … 自宅でもお手入れできるような爪の切り方、スキンケア


さらに①~④にわけて診断、治療を行います。

① 靴の適合、足変形、荷重歩行の異常

足変形や異常荷重を認めるものに対しては靴、インソールの調整などを行い足病変の予防を行っています。インソールとは靴の中に敷く ものです。病変部にかかる圧力を分散する治療(免荷療法)であり足変形を伴っており通常の治療で治らない場合(特にタコ、ウオノメ のある方)にお勧め致します。圧力がかかる部分の負担を軽くし、アーチを支えることで、痛みが緩和される、足が疲れにくくなる、 使い続けることで正しい歩行に導くなどの効果が期待できます。当院専任の技術者が足型をとって作成しています。

② 足病変

足病変の種類はさまざまであり、主なものに下記があります。

陥入爪、巻き爪 陥入爪は爪の切り方、不適切な靴などの生活習慣が原因であることが多く、繰り返し炎症を起こします。足の爪が周囲の皮膚にくい込み、 痛みや炎症を起こし、細菌感染をおこすと爪囲炎となります。くい込んだ部分の爪を切るといったん楽になりますが、爪が再び伸びれば 痛くなり、深爪は徐々に重症化する原因となります。巻き爪は爪の両端が巻き込んだ形になる変形であり、陥入爪と併発することが多いといわれています。
足、爪白癬 足、爪白癬の患者は靴擦れや潰瘍で容易に細菌感染を引き起こします。感染を起こすと治癒まで時間を要することも多いため、内服療法、軟膏療法、生活指導を行い早期治療、予防に努めています。
鶏眼、胼胝 胼胝(タコ)は足の皮膚の表面(角質)が扁平に硬くなるもので、痛みはあっても軽いものです。鶏眼(ウオノメ)は小型の角質増殖で、 中央にやや透明の芯をもち、強い痛みがあります。ともに異常荷重で起こる刺激から体組織を防御しようと皮膚が硬化する、一種の防御機能です。治療としては、かみそりで削る方法や、スピール膏、外用薬など、さまざま行われていますが、基本的には自己処置ではなく医療機関での処置するのが望ましいでしょう。安易な処置により潰瘍形成、壊疽が起きている場合も少なくありません。 また鶏眼、胼胝の原因である異常荷重への対策も重要であり、何度も再発する方は中敷き(インソール)の作成をお勧め致します。
潰瘍、壊疽 糖尿病や透析患者の潰瘍は血流障害、神経障害などにより正常な傷の治癒機転が働かないため難治性潰瘍を起こしやすく、治療に難渋するケースが多々あります。基礎疾患のコントロール状態によってはわずかな傷から潰瘍が拡大し壊疽に至ることもあるため、早期発見、早期治療が大切です。

③ 血流障害

糖尿病患者、透析患者の多くは動脈硬化の合併を認めるとされています。これらは自覚症状がないうちに進行し皮膚病変を契機に見つかることもあります。当院では初診時、主要血管の触診、各種検査(ABPI、SPPなど)を併せて行い、診察、検査で明らかな異常所見を認めた場合は当院血管外科医と連携して適切な治療を行います。

④ 神経障害

神経障害は足病変の発生、悪化に関与しています。特に糖尿病では神経障害を来たすことが知られており、感覚神経、運動神経、自律神経を損傷しさまざまな症状を呈します。それらを適切に評価し、初期診断することが非常に大切です。


明らかな症状のない方でもご年配の患者さんや、糖尿病や透析中の患者さんは自律神経障害などの影響も重なり常にドライスキンです。ドライスキンはバリア機能を低下させるため二次感染を伴いやすくなります。足の痛み等生じるようになると歩行障害を来たし、ひどい場合には下肢全体の働きを低下させ、高齢者では転倒の原因なるともいわれています。ご自分の足でずっと歩けるように、ぜひフットケアに興味をもち、早期の対応を心掛けるようにしましょう。