ホーム診療科・部門専門外来関節外科(股関節・膝関節)

専門外来

関節外科(股関節・膝関節)

人工股関節、人工膝関節に関する専門性の高い外来診療を行います。
手術をしなければ治らない? など、疑問・悩みをご相談ください。

股関節の痛み、膝関節の痛みでお悩みの患者さんに受診していただきたい外来です。

レントゲン検査やCT、MRIによる詳しい検査を行い、場合によっては骨粗鬆症の有無の確認を行い、これらの検査結果から骨や関節の状態を確認し痛みの原因を診断し、生活スタイルやニーズを踏まえ、患者さんにとってより最適な治療法をご提案します。

股関節、膝関節の治療は、お薬(痛み止めの飲み薬や貼り薬)による治療、リハビリテーションによる治療(筋力訓練、関節可動域の維持拡大の訓練など)を行います。

膝関節の場合はヒアルロン酸の関節内注射による症状の緩和、装具(膝サポーターや足底板)を用いた治療があります。

骨粗鬆症の治療も含めた骨質の改善を行う事で、関節の骨を丈夫にする方法もあります。

これらの治療(保存的治療)によって手術によらない治療が可能な場合もあります。

保存的治療を行っても痛みが治まらない、日々の生活に痛みで困る事が多いといった症状になると、手術による治療(観血的治療)を検討します。

観血的治療として、当院では人工股関節、人工膝関節手術を行っています。
人工関節手術には、日本人工関節学会認定医が携わっています。

股関節について

正常な股関節と変形性股関節症のレントゲンの見た目の違い

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股関節は骨盤側の寛骨臼という、おわん状のくぼみと、大腿骨の大腿骨頭という球形の形の部分で構成されています。球形の関節ですので、あらゆる方向に関節が動くことができます。

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変形性股関節症になると、寛骨臼の底に骨が増殖して「二重底」といって上げ底になってきます。また縁には「骨棘」といって骨が棘のようになってきます。軟骨がすり減ってなくなると関節の隙間がなくなり、骨どうしが擦れてくるので、関節の部分の骨は硬くなり「骨硬化」という状態になります。また硬くなるだけではなく、体重の掛かる部分の骨には「骨のう胞」という空洞ができます。こうやって関節が体重を支えられなくなり、痛みが強くなってきます。
痛みが強く、歩きづらくなったり、生活に困るようになると、人工股関節手術を考えます。

人工股関節手術とは?

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痛んだ関節を人工物で置き換える手術です。人工股関節は大きく4つの部品でできています。

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人工股関節には様々な機種がありますが、術者の経験や患者さんの骨の形に合わせて機種を選択します。

最小侵襲手術(MIS; Minimally Invasive Surgery)

人工股関節手術ではMISを行っており、皮膚切開は7~10cmほどと小さく、また筋肉や腱の切離も極力少なくし、患者さんにより負担の少ない手技で手術を行っています。人工股関節の合併症として脱臼があり、およそ1%に起こるといわれています。MISでは筋肉や腱の切離も少ないため、脱臼のリスクも低くすることができます。
股関節の変形が強い場合や肥満のある方や筋肉質の患者さんは、小さな皮膚切開で手術ができない場合があります。

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安全に手術を行うために

手術前の検査 手術前の検査として、血液検査や心臓のエコー検査、肺機能検査、骨密度検査など十分に精査を行い、手術に耐えうるか、安全に手術を受けられる体力があるか診断します。高血圧症や糖尿病といった合併症のある患者さんも、他科と連携して安全に手術が行えるように治療を行います。
細菌感染対策 人工関節手術の合併症として細菌感染があります。人工股関節手術では0.2〜0.6%、人工膝関節手術では1〜3%といわれています。当院にはクラス100のクリーンルーム手術室があり、細菌汚染に配慮した手術室環境で、より安全に手術を行うことができます。
出血対策 人工関節手術は出血の多い手術です。以前は輸血をしなければできない手術と言われていました。近年、様々な出血対策や手術手技の向上により、出血量は減少しています。手術後1週間までのおおよその出血量は、人工股関節手術では700mL、人工膝関節手術では900mほどです。献血で採血する血液は通常400mLですので、そのおおよそ2倍の血液が手術後1週間で失われる計算になります。より安全に手術を行うために、当院では自己血輸血(自分の血液を用いた輸血)を活用し、同種血輸血(他人の血液を用いた輸血)を極力使わないよう心がけています。当院では、自己血輸血の経験豊富な医師が手術に携わっています。

手術後のリハビリテーション

手術後は、当院の充実したリハビリテーション環境で関節機能や歩行機能の回復を心がけており、より早い退院と社会復帰を目指しています。


医師紹介

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整形外科 部長 吉光よしみつ 一浩かずひろ

平成14年医師免許取得

専門領域
整形外科(一般・外傷・関節リウマチ・運動器リハビリテーション)、関節外科(人工股関節・人工膝関節)、自己血輸血
専門医等
医学博士、日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会指導医、日本整形外科学会リハビリテーション医、日本整形外科学会リウマチ医、 日本人工関節学会認定医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医
所属学会
日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本股関節学会、日本リハビリテーション医学会、日本臨床バイオメカニクス学会、日本運動器科学会、 西日本整形・災害外科学会、日本関節病学会、日本宇宙航空環境医学会、日本生体電気・物理刺激研究会、日本自己血輸血・周術期輸血学会 常務理事
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整形外科 医員 山木やまき 宏道ひろみち

平成26年医師免許取得

専門領域
整形外科(一般・外傷)、関節外科(人工股関節)
専門医等
日本専門医機構認定整形外科専門医
所属学会
日本整形外科学会、日本股関節学会、日本人工関節学会