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肝臓友の会

37「C型肝炎に対する最新の抗ウイルス療法」-3剤併用療法について-

当日は会員の皆様、入院患者さんおよび関係職員を含めて約60名の参加がありました。

要約をまとめました。平成4年3月にC型慢性肝炎活動型にインターフェロン療法が開始されて約20年が経過しました。その間、治療法の進歩が着実に成し遂げられ、C型肝炎患者さんに対するウイルス排除率は徐々に改善されてきました。その結果、どのような人が完治しやすいのか、分かってきました。

治りやすい人は、年齢は若い人、男性、肝臓病が進行していない人、肥満の無い人、C型肝炎ウイルスの量が少ない人、ウイルスのタイプが2群の人、ウイルスのCore70番の変異が少ない人、ISDRの変異が多い人となります。(図1、図2)加えて、治療を最後まで継続できたか、治療薬の投与量が充分であったかなども治療効果に影響していました。

その結果、平成23年末までの治療効果は、日本人に最も多い難治例である1群で高ウイルス量の集団においてさえも、48週(1年)から72週(1年半)の治療で60%の人が完治できる状況になっていました。ただし、肝硬変の人、高齢の女性では完治率が30%を下回る状況でした。

それ以外の集団、ウイルス量が少ない例や2群の集団においては24週(半年)の治療により80~90%の患者さんが完治できますので、より積極的にインターフェロン療法を導入する必要があります。1群高ウイルス量の患者さんに対して、今までのペグインターフェロン(商品名:ペグイントロン)、リバビリン(商品名:レベトール)に加えて、平成23年12月末頃より新薬としてテラプレビル(商品名:テラビック)が導入され、3剤による新しい治療が可能になりました。

その結果、24週間の短期治療において、初めてインターフェロンによる治療を受ける患者さんでは、73%の完治率が得られるようになりました。また、以前、インターフェロン療法を受け、治療中にウイルスが一度でも陰性化し、その後、再発した患者さんでは88%の完治率が、治験のデータで示されました。(図3)

その中で、トピックスとして、人の遺伝的体質によりインターフェロン治療効果に差があることも分かってきました。即ち、IL-28Bという遺伝子型を測定することにより、効きやすいタイプ(Major型)、効きにくいタイプ(Minor型)があり、日本人は70%が効きやすいMajor型を有しています。

このような様々な因子を検討し、治療前にどのくらいの確率で、完治が期待できるか推測することが出来るようになりました。もちろん、治療費は助成金制度の対象となり、ほとんどの人は月額1万で治療が出来ます。ただ、効果が良くなると言うことは、個人差はありますが、副作用が生じる可能性もいままでの治療法より強く出るということです。

主な副作用は、食欲不振、貧血、皮膚症状(湿疹、皮膚炎)、腎機能障害、などがあげられています。そのため、この3剤併用による治療は、肝臓病専門医、皮膚科専門医が在籍している認定施設でのみしか行うことが出来ません。当院はその数少ない投与可能施設であり、3月までに16名の患者さんに導入し、短期間でウイルスが消失するという著しい効果を再確認し、今後の治療効果、著効率のさらなる改善が期待できます。

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    図1

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    図2

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    図3

朝倉医師会病院:肝臓友の会 委員長:石井 邦英


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