ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会25「C型肝炎の治療とインターフェロンの助成の話」… 平成20年4月より始まりました助成金の説明です

肝臓友の会

25「C型肝炎の治療とインターフェロンの助成の話」… 平成20年4月より始まりました助成金の説明です

薬害肝炎の訴訟裁判を契機として、平成20年4月よりインターフェロン治療に対する医療費助成制度が始まりました。

この背景として、現在、日本では年間3万8000人の人が肝臓癌で亡くなっていますが、この肝臓癌の原因の80%はC型肝炎ウイルスの感染によるものであり、ウイルス性肝炎が我が国最大の感染症であることがあげられます。さらに、ウイルス性肝炎に対するインターフェロン療法が奏功すれば根治が可能であり、その結果、肝硬変や肝臓癌に進行するのを防ぐことができ、対治療費用効果が良いことがあげられます。

慢性肝炎のほとんどは無症状であり、一方、インターフェロン治療は高額であり、患者さんがインターフェロン治療への意欲やアクセスが悪いことが指摘されています。しかしながら、C型肝炎ウイルスに感染すると7割の人が、急性肝炎から慢性肝炎に進行します。慢性肝炎になれば、自然に完治することはありません。そして、慢性肝炎になった人のうち半分が、20年から30年の経過で肝硬変に進行します。さらに、肝硬変まで進行して10年もたてばほとんどの人に肝臓癌が生じてきます。

肝臓癌になると、治療費は、インターフェロン療法とは比較になりません。1ヵ月に100万円の医療費がかかることもあります。 したがって、対医療経済効果の面からも慢性肝炎の早期の段階でのインターフェロン療法が勧められます。

助成の対象となるのは、B型肝炎およびC型肝炎の患者さんがインターフェロン療法を保険適応で行う場合です。すなわち、C型肝炎の患者さんの場合、ペグインターフェロン、リバビリンの薬剤費、初診料、再診料、諸検査料、入院料、インターフェロン療法を継続するために併用が必要な薬剤(解熱鎮痛剤、睡眠薬、胃薬、かゆみ止めなど)に対して、一年間にわたり毎月の自己負担上限額が設定されました。この助成額は都道府県により異なりますが、福岡県では各世帯(家族全員の)収入の合計で決まり、3段階に別けられています。

各世帯の課税年額が65000円未満の場合は月10000円、課税年額が65000円以上235000円未満の場合は月30000円、課税年額が235000円以上の場合は月50000円の自己負担上限額となります。

助成の対象にならないものとして、ウイルス除去を目的としないインターフェロン少量長期投与、インターフェロン療法を中断して行う副作用の治療、保険適応のないインターフェロン療法(非代償性肝硬変、肝臓癌など)があります。

また、この助成システムは7年間に1回(1年間)のみですので、1年を超えてインターフェロン療法を行う場合は、その後の期間は助成の対象となりません。どこの医療機関でも助成が得られるのではなく、福岡県に届けて認可された専門施設でのみ、この助成制度でインターフェロン療法を行えます。

この制度を受けるための書類は最寄りの保健所に準備してあり、医師の記入するもの、自分で記入するものがあります。当院は肝炎ウイルス検査の指定病院、肝炎治療の専門病院であり、難治群と言われる1群,高ウイルス量のC型肝炎患者さんにおいて、週1回のインターフェロンとリバビリンを併用した治療により、60%の完治率が得られています。

さらに、この助成制度を有効に利用して、一人でも多くの患者さんを完治に導き、肝癌の撲滅に近づけたいと思っています。

2008/5/24 肝臓友の会 勉強会 講演要約
消化器病センター長 石井邦英


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