ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会02「肝臓とくすり 1」…ウルソ、強力ミノファーゲンC、ラクツロース、ラクチトール

肝臓友の会

02「肝臓とくすり 1」…ウルソ、強力ミノファーゲンC、ラクツロース、ラクチトール

患者さんの中には“御飯のように”(一寸言い過ぎかもしれませんが)薬が投与されている方がおられると思います。世の中薬漬けの弊害が叫ばれていますが、中にはそれだけの薬が必要な方もおられるのです。そこで現在私共が肝臓病の患者さんに処方している薬についてどのように必要なのか御説明したいと思います。

ウルソ

一番処方されることが多い薬で、ほとんどの肝臓病の患者さんに投与されていると思われます。この薬の成分は熊の胆汁成分で、自然界にある物質です。効果は肝細胞膜の保護作用で細胞が壊されるのを防御します。胆管の細胞の修復にも関与します。さらに体の免疫(防御)力を調節したり、胆石を出来にくくしたり、腸管内での細菌による悪影響を軽減させるなどの作用があり、広い目的で使用しています。

強力ミノファーゲンC

ウルソと同じくらい使われている注射薬です。この薬は、血中のGOTやGPTといった酵素を低下させる作用があり、慢性肝炎や肝硬変の患者さんに使われています。GOT/GPTを低い値に保つと、将来、癌が併発してくるのを予防することが出来ます。しかし、この薬の副作用としては、血清中のカリウムが低くなってくるので、定期的に採血してカリウムが低くないかどうか、カリウムを補う必要がないかどうか、チェックが必要です。

ラクツロース、ラクチトール(ポルトラック)

肝硬変の患者さんに投与される薬で、元々は肝性脳症に使われている薬です。この薬を飲むと下痢をするので、下剤と間違っておられる方が多いかと思いますが、これは腸内異物を酸性にして、腸内細菌の増殖を抑える働きをします。アンモニアを産生する腸内細菌を減らすことにより、肝性脳症を改善することが出来るのです。
ラクツロースはアンモニアを減らすだけでなく、腸内細菌を減らすために腸内細菌の“かけら”であるエンドトキシンの腸管からの吸収を抑制して、エンドトキシンによる種々の障害を予防することが出来ます。この他に、この腸内細菌を減らす薬として下剤、種々の乳酸菌製剤などが使われています。

2001/5/26 肝臓友の会 総会 講演要約

院長 安倍 弘彦


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