ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会01「B型肝炎の新しい治療薬、ラミブジンについて」

肝臓友の会

01「B型肝炎の新しい治療薬、ラミブジンについて」

ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスの2種類があります。肝炎を引き起こす主な肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、E型ウイルスがあります。A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスはRNAウイルスでありますが、B型肝炎ウイルスはDNAウイルスであります。

B型肝炎の新しい治療薬として、待望のラミブジン(商品名:ゼフィックス)が厚生省より認可がおり、日本でも2000年11月末より使用できるようになりました。この薬は、諸外国では数年前より使用されており、その有用性が報告されていました。日本でも、多数のB型慢性肝炎患者において臨床治験がおこなわれました。私も7例の治験患者の経過を見てきましたが、その効果には驚くべきものがあります。

この薬はDNAウイルスの増殖を著明に抑えるものであり、その結果、B型肝炎ウイルスは血中より消失し、HBe抗体の出現、肝炎の沈静化などが得られます。B型慢性肝炎においては肝機能の急性増悪後の肝不全・肝硬変への進展防止、肝癌発生の予防になどに、B型劇症肝炎においては救命のために、肝硬変では急性増悪や肝不全・肝癌発生の予防などに、B型肝炎の肝不全患者では肝移植後の再発予防などに、様々な効果が期待でき、これから先のB型肝炎患者の治療を変える画期的なものです。

この薬の投与方法は一日一錠ずつ内服を続けることで簡単ではありますが、問題となるのは、薬を止めることが難しく、内服を中止すると、肝機能が急に増悪したり、そのうちに、この薬に効果がない耐性ウイルスに変化するということで、投与中止時期が専門家の間でも難しいことがあげられます。

したがって、この薬の治療開始前には、きちんと肝生検を行い、病理学的な肝臓の状態を診断し、さらに内服開始後には定期的な通院と血液検査を専門病院で専門の医師の下で実施することが重要であります。(2003/01掲載)

内科長 石井 邦英


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