血管外科

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤について

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足の表面に出ている血管が大きくなり、コブのようになったり、足の血管が浮き出てきているものを下肢静脈瘤といいます。

下肢静脈瘤の原因

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逆流防止弁

四肢の静脈には逆流防止弁があり、正常の下肢の静脈は下腿筋ポンプ作用と弁の働きにより重力に抗して心臓へともどされます。

上方(心臓に向かうほう)にのみ一方通行で、血液が流れるよう働いています。
ところが、長時間の圧迫や負荷を受けることにより、その静脈弁が壊れる(弁機能不全)が起こり、静脈に血液の逆流が起り、静脈はうっ滞したままになり、静脈瘤になります。

下肢静脈瘤は、妊娠中や出産後や長時間の立ち仕事をしている人に多く、遺伝も関与していると思われます。

下肢静脈瘤の症状

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  • 足の血管が大きくなり、コブ状になり蛇行している。
  • 足がだるい、重い、疲れる、腫れる、むくむ、よくつる、ほてる
  • 足の痒み、湿疹など(うっ滞性皮膚炎)
  • 足の静脈瘤が赤くはれ上がり、痛みがでる(血栓性静脈炎)
  • 足の皮膚が固くなったり、黒っぽくなったりしている(色素沈着)
  • 足にいつまでも治らない傷がある(うっ滞性難治性皮膚潰瘍)

下肢静脈瘤の分類

伏在静脈瘤タイプ 側枝静脈瘤タイプ 網目状静脈瘤タイプ 蜘蛛の巣状静脈瘤タイプ
伏在静脈瘤タイプ

手術の適応となる大きな静脈瘤
側枝静脈瘤タイプ

比較的小さな局所的な静脈瘤
網目状静脈瘤タイプ

症状なく治療の対象となりにくい
蜘蛛の巣状静脈瘤タイプ

症状なく治療の対象となりにくい

下肢静脈瘤の検査

ドップラー 音で静脈の逆流を確認します。
エコー 超音波 … 静脈の走行、流れ、大きさや逆流、血栓の有無の確認します。
APG 空気脈波検査 = 静脈機能検査 … 逆流やうっ血の程度、下腿のポンプ機能の状態を検査します。
MRVenography MRIで静脈の走行や大きさ、血栓の有無を確認します。造影剤は使用しません。
CT CTで静脈の走行や大きさを確認します。造影剤は使用しません。
Venography 静脈造影 … 静脈を直接穿刺し造影剤を使って行う静脈造影である。 静脈の走行や大きさ、血栓の有無を確認します。(エコー、CT、MRVの検査結果で、さらに詳しく静脈瘤を調べる時のみに行います。)

下肢静脈瘤の治療法

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ストリッピング手術

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レーザー治療

○圧迫療法
弾力包帯を巻いたり弾力ストッキングを着用します。

○硬化療法
小さな静脈瘤に泡状硬化剤を注入し、静脈瘤を閉塞させます。

○高位結紮術
原因となっている静脈を小切開して結紮します。

○ストリッピング手術(内翻式ストリッピング)
原因となっている静脈を引き抜く手術です。(3~7日間の入院が必要です。)
鼡径部・下腿部の創から静脈内にワーや~を挿入し血管を抜去します。
内翻式ストリッピングでは静脈内側に裏返るようにして抜去されるため周囲組織へのダメージが少なくなります。

◎レーザー治療(下肢静脈瘤レーザー焼灼術)
原因となっている静脈の中からレーザーを照射し、血管を焼灼し塞ぐ手術です。2011年1月より保険適用となりました。当院では、これからは下肢静脈瘤の治療はレーザー焼灼術が主体となると考えていますが、 症例によっては、軽症の方には硬化療法、重症の方にはストリッピングといった患者さんに一番いい治療法を選択し、 治療を行ってまいります。 下肢静脈瘤でお悩みの方は、当院血管外科外来にお気軽にお声をお掛け下さい。