ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会38「肝臓病における消化器内科から外科への連携」

肝臓友の会

38「肝臓病における消化器内科から外科への連携」

肝臓病における外科的治療は、表1のようにまとめられます。

当院では、肝臓部分切除術、開腹ラジオ波焼灼術、脾臓摘出術(開腹、腹腔鏡)を、熟練した専門医が施行しています。

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C型慢性肝炎、B型慢性肝炎、自己免疫性肝炎などの慢性肝疾患が進行すると、肝硬変になります。肝硬変が進み、肝臓の機能が低下し、黄疸、浮腫、腹水、肝性脳症、食道静脈瘤などの症状が出現すると、非代償性肝硬変と呼ぶ状態になります。この様な状態では、肝臓を栄養する門脈という血管の圧が高くなり、門脈圧亢進症と呼ぶ病態を合併します。すなわち、浮腫、腹水、肝性脳症、食道静脈瘤などの症状は、門脈圧亢進症が出現した結果と言うことになります。

表2に示しますように、門脈圧亢進症は脾臓を腫大させ、脾臓機能亢進症を引き起こし、その結果として貧血、血小板数の低下による出血傾向などが生じてきます。通常、血小板数は20万前後ですが、肝硬変では10万未満になり、5万以下になると出血傾向が生じ、3万以下では脳出血の危険性が強くなり、血小板数を増やす治療が必要となります。さらに、C型肝炎ウイルスを排除し、完治をもたらすインターフェロン療法では、インターフェロンによる副作用のために、血小板数が低下します。そのため、インターフェロン療法を導入し、安全に治療を継続させるためには、インターフェロン導入前の血小板数が10万以上であることが重要となります。

また、肝臓癌および食道静脈瘤に対する内科的治療においても、出血予防のため、最低でも5万以上の血小板数が必要です。

この様な状態に対処するために、当院では内科的には脾動脈塞栓術(TASE)を、外科的に用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術(HALS)を施行しています。脾臓摘出術の影響は、表3のようになります。

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脾臓摘出術により、肝機能の改善、貧血の改善、血小板数の増加、食道静脈瘤の軽減などが期待できます。その中でも、用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術(HALS)は、開腹手術に比べて、患者さんの体に優しく、安全な手術です。

当院開院後の5年間に現在まで13例にHALSが行われており、いずれも肝機能を改善が示され、全例に10万以上の血小板数の増加と維持を(図1)、8例にインターフェロン療法の導入がもたらされた。また、食道静脈瘤を認めた8例中の5例に食道静脈瘤の改善が認められました。当院では、消化器内科より外科への連携も強く、毎週1~2回、内科・外科合同でカンファレンス、症例検討会を開いています。

これからも消化器病センターをよろしくお願いいたします。


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