29「肝硬変の夜食療法-夜間睡眠時の飢餓状態をなくし肝臓を守りましょう-」… 肝硬変患者さんの夜食の必要性や取り方の説明です。
肝硬変になると、肝臓でのグリコーゲンの貯蔵量が少なくなってきます。よって肝硬変の人が夕食から翌日朝食まで(夜間睡眠時に)12時間近く何も食べないことは、健康な人が3日間ほど絶食したのに匹敵すると言われています。朝起きた時に飢餓状態(肝臓から血液にグリコーゲンを供給できない状態)になっているわけです。
倦怠感を感じたりすることもあります。またグリコーゲン(糖分)の代わりに筋肉のタンパク質が使われ、筋肉が徐々に少なくなってしまいます。栄養状態はさらに悪くなり症状の悪化を招きがちになります。よって栄養状態の悪い肝硬変患者は、6時間以上絶食しないことが大切です。その対策には夜食療法(Late Evening Snack)が良いと言われています。夜食療法は、「寝る前」に「夜食」をとります。夜食を摂ることにより夜間のエネルギー上足がなくなり、栄養状態の改善が期待できるわけです。
夜食としては150から200キロカロリー程度の食事をとりますが、食事回数を増やしさらに寝る前に食べるので、摂りすぎには注意が必要です。その為には1日の総カロリーを増やしてはいけません。朝、昼、夕の食事量を少しずつ減らし、その分のカロリー(食事)を夜食にもってきます。…これは大切なポイントです。
夜食をとる時の注意
- 油ものや硬いものは避けて消化の良いものにすること。
- ゆっくりと吸収される食品・料理を選びましょう。
- 砂糖や菓子は消化吸収が早く肥満の原因にもなるので注意が必要
150から200キロカロリー程度の夜食例
- 120g位のおにぎり
- ジャム付き食パン1枚+ミルク紅茶
- プレーンクラッカー1袋+ヨーグルト小1個
その他の夜食
夜間にはタンパク質を作ることも盛んなので、アミノ酸を補うことが大切です。中でも分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、アンモニアの処理に使われるので肝硬変の人は上足しがちです。その分岐鎖アミノ酸を多く含む栄養食品「へパス」等を夜食として利用するのもよいでしょう。
2009/5/30 肝臓友の会 勉強会 講演要約
管理栄養士 木村恵美子