ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会26「薬と肝障害」… 薬やダイエット薬によって起こる可能性がある肝障害のお話です

肝臓友の会

26「薬と肝障害」… 薬やダイエット薬によって起こる可能性がある肝障害のお話です

今の世の中、偽装が横行していますが、市販の薬の中にもそのようなものがあります。 特に、中国製のものに多く見られました。

厚生労働省の平成15年の医薬食品報告では、御芝堂減肥こう嚢、せん之素こう嚢および茶素減肥といった中国製ダイエット用健康食品による健康被害事例が425例報告され、そのうちで、肝障害例は276例(65%)にみられ、死亡例が3例にのぼりました。

このようなダイエット用健康食品の中には、甲状腺沫などが含まれているものがあります。甲状腺沫は甲状腺機能低下症の薬であり、体全体のエネルギー代謝を亢進させ(ちょうど、運動をどんどんするような状態)、その結果、体重が減少するものです。体重を減らすために、甲状腺沫を飲むというのは、健康な人にバセドウ病を引き起こすようなもので、きわめて危険な状態を作っているのです。この他にも、ダイエット用健康食品の中には、種々の薬物が混入されています。

現在、種々の食料品の中に、防腐剤、農薬が含まれていますが、それよりも、もっと意図的な化学物質が含まれています。ごく最近では、このようなダイエット食品はかなり規制され、流通しなくなってきていますが、新たなダイエット食品が出回ってくる恐れはありますので、注意が必要です。

全ての薬物は何らかの副作用を呈する恐れがあります。特に、薬剤アレルギーは頻度の差はあれ、全ての薬物で起こっても不思議ではないのです。 薬剤アレルギーによる肝障害は比較的症状がわかり易く、診断も容易です。 薬を服用して、多くは2~3日以内に熱が出たり、発疹、痒みなどが出、肝機能検査などをすると異常を呈することがあるのでわかります。

薬物の中には、肝臓で分解された後に、有害物質となって肝臓に障害を起こすものもあります。 解熱鎮痛剤(熱冷ましや痛み止め)や麻酔薬などがあります。そのため、これらの薬は長く使用した後や、お酒を長期間呑んで、有害物質を産生し易くなったような人に、肝障害を起こし易い傾向にあります。 お酒と薬物の分解には、密接な関係があります。

特に、睡眠薬の場合には、お酒と同時に飲むと、睡眠薬の分解が遅くなり、効果が強く持続することになるので危険です。 また、お酒をよく飲む人が、お酒を飲んでいないときに、睡眠薬を飲むと、この場合には、睡眠薬が早く分解され、薬が効きにくいという現象が起こります。よく言われる酒飲みの人は、薬が効きにくいと言われる現象です。 そのため、睡眠薬を大量に飲んでお酒を一緒に飲むと、今度は薬が効き過ぎ、長時間続き、生命に関わるような事態に陥ることがあるので、注意が必要です。薬は、必ず医師の指示のもとに服用するように心がけましょう。

2008/9/27 肝臓友の会 勉強会 講演要約
院長 安倍弘彦


トピックス一覧へ戻る