ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会23「肝臓病と薬の飲み方」…肝臓病の薬についての説明です

肝臓友の会

23「肝臓病と薬の飲み方」…肝臓病の薬についての説明です

1. 慢性肝炎とは

  1. B型肝炎ウイルスによるものと、C型肝炎ウイルスによるものがあります。
  2. ウイルスが肝臓に何ヵ月あるいは何年も炎症をおこします。
  3. 炎症の程度は様々ですが、肝臓の門脈域というところに強く炎症がおきます。
  4. 肝細胞はこわれていきます。
  5. 炎症が長い間続くと線維化がおこります。
  6. 線維化が強くなれば肝硬変になります。

2. 肝庇護剤

ウルソ、ウビロン、強ミノは壊れていく肝細胞を修復する働きがあります。ウルソ、ウビロンは1回1錠から2錠を1日3回服用します。強ミノは1回40mlを静脈注射あるいは点滴静注します。何れも血液検査でGOT、GPTの上昇を抑える働きがあります。

3. 肝臓のはたらき

体内あるいは肝臓内から肝炎ウイルスを追い出せる薬はインターフェロンしかありません。現在C型慢性肝炎には週1回投与のペグインターフェロンの筋注とリバビリン(レベトール)の併用が一般的に用いられています。24週から48週(60週)続けます。量は体重によってかわりますが、レベトールは1回1から2錠を1日2回飲みます。

4. 肝硬変とは

  1. アルコール性肝障害や慢性肝炎が進んだ状態です。
  2. 肝臓の門脈域から線維が増えていきます。
  3. 線維が肝小葉を取り囲みはじめます。
  4. その結果、小さな結節をたくさん作ります。
  5. 肝臓は線維が増えたため、硬くなります。
  6. 肝臓が硬くなると同時に小さくなります。
  7. 肝硬変から癌ができやすくなります。

5. 肝性脳症

肝性脳症は血中のアンモニアが上昇することによって起こります。肝硬変ではアンモニアを解毒する働きが弱くなります。そのアンモニアが脳に貯まって肝性脳症が起こるのです。肝性脳症の治療には蛋白制限食、モニラック(腸管を酸性化し、アンモニア産生を抑制する)、抗生剤(アンモニア産生菌を殺す)、浣腸、乳酸菌製剤(悪玉の腸内細菌を追い出す)を用います。何れも1日3回服用します。また、便秘はアンモニア産生を増加させるので、下剤を服用することも大事です。

6. 腹水

肝硬変では門脈圧が亢進するため、腹水や下肢浮腫が出てきます。また、アルブミンという蛋白が不足するために身体に水が貯まりやすい状態になります。そのためアルブミンの補給や利尿剤の静注あるいは内服を行います。

7. BCAA製剤

肝硬変の方はアンモニア源(アミノ酸)を減らすのに低蛋白食にしないといけません。しかし、それでは栄養が不足します。また、アミノ酸バランスが崩れてきます。(分岐鎖アミノ酸BCAAが少なくなり芳香族アミノ酸AAAが多くなります。)このアンバランスをBCAA製剤(アミノレバンEN、へパンED、リーバクト)を服用することで肝臓の働きが良くなりアルブミンも増加します。

8. その他

こむら返りには芍薬甘草湯、タウリンが有効で、肝臓が悪くなると、胃も悪くなるため、胃薬の服用も大事です。

2007/10/13 肝臓友の会 勉強会 講演要約
検査科長 田口順


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