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肝臓友の会

22「肝癌」…ラジオ波焼灼療法について

肝癌に対して、マイクロ波あるいはラジオ波を用いた焼灼療法が行われています。一般的には、マイクロ波熱凝固療法(MCN、MCT)、ラジオ波焼灼療法(RFA)と呼ばれています。周波数2450MHzのマイクロ波は、工業・化学・医学用に特定電波として認められており、MCNに使用されています。電子レンジの周波数も2450MHzです。RFAには450-480KHzの周波数が使用されています。(1KHz=1000Hz、1MHz=1000000Hz)

発熱は、周波数の振動が細胞内の分子を振動させておこる摩擦熱(ジュール熱)によるもので、電子レンジの理屈と同じです。ラジオ波は、マイクロ波に比べて周波数が低く、熱の発生も低くなりますが、1回の焼灼である程度決まった球形の焼灼範囲が得られるため、内科的には多くの施設がラジオ波を使用しています。当院でも、ラジオ波を用いた焼灼療法を行っています。

RFAの一般的適応は、肝癌が切除不能か、切除を希望されない場合。病変数が3個以内で、最大径が3cm以内の場合。血小板数が5万/mm3以上、プロトロンビン時間が50%以上、コントロール不能の腹水がない場合です。

RFAの針は、cool-tipと呼ばれる1本針か、展開型のものがあります。最近、そのやりやすさから、主にcool-tipが使われています。焼灼範囲は、ほぼ球状に2cmあるいは3cmの大きさで得られます。大きく焼灼するためには、針を複数本使用するか、複数回穿刺する、RFA前に肝動脈塞栓術を施行する、肝動脈をバルーンにて閉塞する等の工夫がされています。

また、穿刺困難な場所にある腫瘍には、人工的に胸水あるいは腹水を作製する、造影エコーを併用する等の工夫がされています。重篤な合併症の頻度は低いのですが、隣接臓器の熱障害や胆管障害などを予防するために、冷却しながら焼灼して、熱障害をおこさないようにします。

実際のやり方は施設によって少しずつ異なります。当院では、エコー下に針を目的の部位まで穿刺した後、薬による鎮静をかけ、ほぼ眠った状態で焼灼を行います。治療後は、3~4時間の安静を行ってもらっています。

2007/6/2 第19回勉強会
消化器科長 梶原雅彦


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