肝臓友の会
11「顕微鏡でみた肝臓病」…肝臓病の基礎知識、肝生検について
① 肝臓のつくりとはたらき
肝臓はどんな臓器?
- 肝臓は右上腹部にある
- 色は赤褐色調(暗赤色)
- 身体の中で一番大きな臓器
- 体重の約50分の1の重さ
- 重さ1,000から1,500グラム
肝臓の特徴
- 肝臓は沈黙の臓器である! 異常が起こっても症状がでにくいです。
- 自己再生能力が強い! 肝臓の7割を切り取っても、約4ヵ月後にはもとの大きさと機能を回復しています。
肝臓のはたらき
- 代謝:食物から摂取した栄養素を体内で利用できる形に変えたり、貯蔵したり、血液中に流す。
- 解毒:体内に生じた毒性物質(アルコール、アンモニアなど)を解毒する。
- 排出:胆汁を作り、胆管を通じて腸の中に分泌する。
栄養素の貯蔵と加工
- 炭水化物:肝臓でグリコーゲンという物質にかえら貯蔵される。そして、必要に応じてブドウ糖に戻されて血液中に流され、エネルギー源になる。
- 蛋白質:アミノ酸という形で小腸で吸収され、肝臓で再び利用できる形の蛋白質に作り変えられる。
- 脂肪:脂肪酸とグリセリンに分解されて、小腸で吸収され、肝臓でコレステロール、中性脂肪、リン脂質に置き換えられる。
② 肝生検
肝生検でわかること
- 慢性肝炎の状態
- 慢性肝炎か肝硬変か
- インターフェロンが使えるかどうか
- 脂肪肝の程度は?
- このままお酒を飲み続けるとどうなるの?
- 腫瘍かどうかの判定
脂肪肝
- 原因はアルコールの飲み過ぎと肥満です。
- あまり症状がでません。
- 血液検査でGOT、GPT、ガンマ-GTP、中性脂肪などが上昇します。
- 肝臓にたくさんの脂肪(中性脂肪)が貯まった状態です。
- 禁酒やダイエットでよくなることが多いです。
アルコール性肝障害
- お酒の飲み過ぎでおこります。
- 肝臓に中性脂肪が貯まります。
- 肝細胞がこわれます。
- 肝臓 に線維化がおこります。
- 線維化が進行すれば肝硬変になります。
慢性肝炎
- B型肝炎ウィルスによるものと、C型肝炎ウィルスによるものがあります。
- ウィルスが肝臓に何ヵ月あるいは何年も炎症をおこします。
- 炎症の程度は様々ですが、肝臓の門脈域というところに強く炎症がおきます。
- 肝細胞はこわれていきます。
- 炎症が長い間続くと線維化がおこります。
- 線維化が強くなれば肝硬変になります。
肝硬変
- アルコール性肝障害や慢性肝炎が進んだ場合におこります。
- 肝臓の門脈域から線維が増えていきます。
- 線維が増えた結果、肝小葉を取り囲みます。
- その結果、小さな結節をたくさん作ります。
- 肝臓は線維が増えた結果縮んで硬くなります。
- 肝硬変から癌ができやすくなります。
2004/2/28 肝臓友の会 勉強会 講演要約
検査科長 田口順