ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会09「最近の内視鏡治療~静脈瘤と胆道系疾患について~」…EVL、EIS 、ERCP、ESTなど

肝臓友の会

09「最近の内視鏡治療~静脈瘤と胆道系疾患について~」…EVL、EIS 、ERCP、ESTなど

消化器内視鏡とは?

  • 上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)… 食道、胃、十二指腸を観察
  • 下部消化管内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)… 大腸の観察

食道・胃静脈瘤について

食道・胃静脈瘤とは肝臓を通って心臓に戻るはずの血液が、肝臓が硬いために十分肝臓を通って心臓に戻ることができず、バイパス(迂回路)として食道・胃に出現する太い血管のことをいいます。基本的には無症状!! 胃カメラなどでしか診断できません。
わが国では食道静脈瘤の原因疾患は肝硬変が大半を占めており、食道静脈瘤破裂による大量の吐下血は肝硬変症の予後を左右する重要な要因の一つであります。食道静脈瘤に対して有効な治療体系が確立されていなかった30~40年前は、静脈瘤破裂により出血し約半数が初診時あるいは入院時に死亡したと報告されています。
しかし、静脈瘤に対する内視鏡的治療法は進歩し、最近では静脈瘤出血で直死することはまず見られなくなりました。現在では内視鏡治療が第一選択として定着しています。

  • 胸が何となく変な感じがする。
  • 胃のあたりが変な感じがする。
  • 身体の力が抜けたような感じがする。

このような症状がある時は病院に行きましょう。

静脈瘤の治療

  • 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)… 特殊なゴムで静脈瘤を結紮する(結ぶ)方法
    機械的な静脈瘤治療法で、静脈瘤出血の緊急止血法として優れた効果を有します。この治療はEISに比較して偶発症は少ないが、EVL単独の治療では静脈瘤再発率が高ので、EVLで治療終了後、引き続きEIS等の追加治療を行い再発防止をめざします。
  • 内視鏡的硬化療法(EIS)… 静脈瘤内に硬化剤(いわゆるセメント)を注入する方法(EVIS、EISL等)
    バルーンにて食道静脈瘤の血流を停滞させ、5%エタノーラミンオレートと言う硬化剤を注入する硬化塞栓療法です。

胆道系疾患について

胆管は、胆汁の通路であり、肝細胞で生成された胆汁を胆嚢へと運搬し、胆嚢から十二指腸へ流出させる管です。

  • 胆石症 … 胆嚢や胆管に石ができて、時に痛み等さまざまな症状を引き起こす病気の総称です。治療法は胆嚢結石は腹腔鏡視下手術、胆管結石は内視鏡的手術か外科的手術。
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)… 十二指腸スコープを十二指腸の下行部まで挿入し造影カニューレを胆管、膵管に挿入しX線撮影をする検査方法です。
  • 内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)… 胆管内の石(胆石)を取り除いたり、管の狭いところに流れ(ドレナージ)をよくしたりするために、十二指腸乳頭部を電気メスで切開すること。
  • 閉塞性黄疸 … 胆管での閉塞により十二指腸へ胆汁が流出しないために起こる黄疸。原因としては、胆石症か悪性疾患が多い。PTCD(経皮経肝的胆道ドレナージ)か、内視鏡的(経乳頭的)にドレナージが行われます。
  • ステント留置術 … PTCDかERCPの方法を使い、癌等により閉塞してしまった胆管を拡張させ、維持していくための器具をステントと言い、ステントを留置することにより内腔を確保し、胆汁が流れ黄疸が消失し、肝機能の改善します。食事も普通に食べることができます。経皮経肝的に挿入するより、経乳頭的(内視鏡的)に挿入するほうが、皮膚や肝臓を穿刺することなく行えるため、一期的に行えるメリットを有します。

2003/5/17 肝臓友の会 勉強会 講演要約


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