ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会06「肝臓病とビブリオ・バルニフィカス感染症について」…魚好きの肝臓病の方は、特にご注意ください。

肝臓友の会

06「肝臓病とビブリオ・バルニフィカス感染症について」…魚好きの肝臓病の方は、特にご注意ください。

ビブリオ属の細菌は、食中毒の原因菌である腸炎ビブリオ菌、重症の下痢、腹痛をもたらすコレラ菌など10種類ほどの細菌に分類されます。このバルニフィカス菌もビブリオ属の細菌の1つではありますが、健康な人が感染しても発病することはほとんどありません。
しかしながら、肝臓病の人の中でも、特に肝硬変やアルコール性肝臓病の患者さんが感染した場合に大変重症になり、発病後2~3日で死亡するという極めて急激な経過をたどります。

また、この細菌の増殖には豊富な鉄が必要なことより、血中の鉄濃度が正常より高い人(肝臓病、特にアルコール性肝臓病の患者さんは通常、血中の鉄濃度が高いことが多い)、および貧血で鉄剤を投与されている人なども注意が必要です。

この細菌は日本近海の沿岸に広く分布しており、特に塩分が薄い河口に近い海岸において海水や魚、貝類に存在しますが、海水温が20度を超す夏から秋にかけて増殖するため、患者さんも7月~9月の間に集中しており、特に有明海沿岸が好発地域です。

生の魚介類を食べたり、傷口から菌が侵入することにより感染します。まな板や包丁などの調理器具を介して感染する事もあります。この菌に感染すると(通常は生の魚介類を食べて)、数時間から1日の間に突然、熱や寒気、ふるえがきます。腹痛や吐き気、下痢がみられることもあります。また、手足(特に、足)の痛み、はれ、紅斑、水疱、内出血などの皮膚症状が出現し、皮膚や筋肉が腐ってきます。死亡率は現在でも75%と高く、治療開始が遅れれば遅れるほど予後は悪く、初期治療が非常に重要となります。

一般住民だけでなく内科医の間でもこの病気の存在はあまり知られていません。昨年はとりわけ猛暑で九州で約10名の方がこの病気を発症し、ほとんどの方が亡くなられています。

このようなビブリオ・バルニフィカス感染症から肝臓病(特に肝硬変)のあなたを守るためには、

  • 肝硬変やアルコール多飲者の人は、夏期には生鮮魚介類を食べないようにする。しっかり火を通せば安全です。
  • 皮膚に傷があるときには海水に接触しないようにする。
  • 真水で菌は死ぬので、調理材料や器具はまめに水洗いをする。
  • 疑わしい症状があれば直ちに病院へ行く。

これらのことを心がけてください。


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