理念・方針
「人間の探求と尊 き愛」
本校は、平成22年に看護師養成課程から3年課程へ課程変更を行い10年以上が経過した、朝倉市で唯一の看護学校である。建学の精神から教育理念をみると、人間愛にもとづく人間らしい感性とよりよく生きることにおける看護実践という崇高な考えのもと教育理念がつくられたのがわかる。今回、建学時のねがいを基盤としながら、教育現場の実際と今後の展望を含めて、本校の教育理念をより深化させた。
『尊き愛』とは、どのような愛と考えるか。人にとって最も尊いこととは、人の存在そのものであると考える。人はその個人として存在し、何人もその存在を軽んじることはできない。その意味において、人の存在への肯定が尊さの根源であると考える。人は唯一無二の存在であり何人もそれを犯すことができない。それは、人の存在の肯定であり、言い換えるならば人はその存在において尊厳を有すということであろう。地位・名誉・身分・貧富に関わらず、1人の人間として尊厳を有しているということ、そしてその尊厳を守るということにおいて人間愛は成り立ち、それこそが尊き愛の意味であると考える。また、人の存在の肯定ということは、概念的な意味や精神性の問題ではない。人は生活者であるため、生活の中で人としての尊厳が守られてこそのものである。人の尊厳を守るということは、守ろうと意識しなければ守れるものではない。生活の中で具現化されてこその行為であると考える。また、その対象は他者に向けられると同時に自分自身が含まれており、自己の存在の肯定のうえに初めて他者の存在を肯定できるのであり、他者の尊厳を守ることになるのである。従って、人の存在の肯定に基づいて人の尊厳を守る者としての意思、及び行動を本校では『尊き愛』と解釈する。
人間の探求については、「人間」と「探求」で考える。人間を表現するときヒト・人・人間の3種類に表現される。ヒトは、生物学的な存在としてあらわされる。人は、個体としての意味で表される。人間の「間」とは、関わるということで表現され、人と人が出会い、人と関わりつながることにより人間と表現される。我々が、対象として捉える場合、ヒトとしての視点、個体としての人の視点、関係性の中での人間の視点をすべて捉えていく必要がある。人としての存在、人間としての存在/生きるということ/存在意義を探し求めること。それこそが我々が対象とする人・人間ではないかと考える。また、「たんきゅう」には「探究」と「探求」の2種類がある。「探究」は物事を追求する事であり物事の本質や意義を探って見極めようとすることである。「探求」は、ある物事を得ようとして探し求めることであり、自らが探し求めることである。看護で対象とするのは、人・人間である。人・人間を対象に対してBest(最良)な行為はできにくいかもしれないが、Better(より良い;他の選択肢と比べて)な行為はできると考える。しかし、我々は常にその人にとっての最良を求めて看護を提供しなければならない。どの行為が最良であるかはあらかじめ答えがあるものではない。そのため、対象にとっての最良を探し求めることが必要ではないか。そこには、探究することと答えが出ないことを探し求めるすなわち探求しながら日々の看護を積み重ねていく事が必要なのだと考える。従って『人間の探求』の人間とは、ヒトという生物体であり、人という個体でもある。しかし、現代において人と繋がらない生活を送ることはほぼ不可能である。病を持つ・持たないに関わらず、人が生活していく中で人とのつながりは重要な意味を持つものである。看護において人/人間について考えることは看護を行う最も重要なファクターである。従って、本校では人/人間とはという根源的な問いを持ちつつ、看護行為の中でその問いを探し求めることを大切にしていきたいと考え『人間の探求』の解釈とする。
教育方針
- 人の存在の肯定のもとに、人の尊厳を尊重する看護を創造できるような教育を行う
- 地域で生活する人と暮らしを支援することができる看護実践能力を持った人材の育成を行う
- 看護に対して、意志(成し遂げようとする心)ある学びができるような教育を行う
教育目的
人間存在の肯定を基盤として、人間の尊厳を尊重できる看護を創造的し、生活の中で具現化できるように探求し続け、高度な知識に裏打ちされた臨床での判断によって導き出された看護の実践ができる臨床実践能力を備えた看護師の育成をする。
あさくら看護学校では、看護職者として人間の生命に対する畏敬と慈愛を持ち、地域で生活する対象の健康に医療、福祉、保健チームの一員として寄与するため、自らの意思で学んでいける人材の育成を目的としています。所定の期間在学し、所定の単位を修得し、本校の人材養成目的に適う知識・能力を身に着けた学生に「専門士」の称号を授与いたします。
ディプロマポリシー
本校で教育目標を考えるに当たって、文科省で使用されている学力の3要素を用いて分類を行った。
知識・技能
- ① 対象理解と看護実践
- EBMに基づいた看護を選択し、対象に適した看護の提供ができる能力を身に着けています
- 看護職者として自らの役割を自覚しチームで協働するための能力を身に着けています
思考・判断・表現
- ② 臨床判断能力
- 対象の生活に適した看護を行うために、臨床判断の基礎的能力を身に着けています
- ③ メタ認知
- 行為の省察や自己の振り返りのためにメタ認知の基礎的能力を身に着けています
主体性
- ④ 目的意識
- 課題を見出し、自らの意思で学ぶことができるための能力を身に着けています
- ⑤ 看護の創造性
- 人間の尊厳を尊重する看護について、探求、創造し続けることができるための能力を身に着けています
アドミッションポリシー
- 入学後の学修に必要な基礎学力が身についている人
- 協調性を備えたコミュニケーション能力が身についている人
- 自らで考える習慣を持ち、人の意見に耳を傾け自分に取り入れることができる人
- 目的を明確にして行動できる人
- 人や人の生活に対して興味・関心を持ち、人を大切にできる人
- 現状を理解し、より良い方向に向かって努力できる人
本校の特徴
- 学生一人ひとりの特性に合わせた指導を大切にします。
- 基礎看護技術と診療技術教育に力を入れます。
- 質の高い教師陣による授業を行います。
- 朝倉医師会病院を中心とした近隣のすぐれた実習病院で実習します。