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肝臓友の会

34「肝臓病に向き合うために」

久留米大学消化器内科・医学教育学の教授であり、私の大学時代の研究室の恩師で先輩である神代龍吉先生をお招きして、講演会が開催されました。当日は天気もよく会員の皆様、入院患者さんおよび関係職員を含めて約60名の参加がありました。その要約をまとめました。

  • 肝臓癌の原因の75〜80%は、C型肝炎ウイルスの感染に起因しており、C型肝硬変からは年率7%で肝臓がんが発病する。
  • 肝臓癌による死亡頻度を都道府県別に比較すると、佐賀県と福岡県が全国でワースト1番、2番を競っている状況にある。
  • 肝炎節目検診の受診率を都道府県別に比較すると、福岡県が38番、佐賀県が39番であり、受診率は15%であり、埼玉県の49%に比べ遙かに低いこと、その代わり、感染率は西高東低である。
  • C型肝炎の治療方針と治療法の工夫:インターフェロンによる発がん抑制、二重濾過血漿交換療法(DFPP)、インターフェロンβの1日2回投与法の有効性について報告。
  • B型慢性肝炎の治療方針について、年齢によりインターフェロンと核酸アナログ製剤(抗ウイルス薬)の適応に差があり、専門医に相談が必要である。
  • 肝庇護療法、BCAA(分枝鎖アミノ酸)製剤の治療と効果。
  • インターフェロン治療の助成金制度、肝臓機能障害が身体障害者に追加されたこと。
  • 肝硬変における短絡路の問題で、短絡路を流れていくものが血液、細菌、薬、糖であったときの病態が症状と関連づけられ、わかりやすく解説されていた。
  • 慢性肝疾患と食事療法において、肝硬変患者の夜食の必要性は当然であるが、食事の工夫として、塩味は後で頂くと舌が鈍感になり摂りすぎるので先に食べて楽しむ。油や醤油は減らしてポン酢で。脂質では40〜50gで植物性の脂質を多く、サラダ油はトクホマークのものを。夏は生ものを食べない。薬物代謝を悪くするグレープフルーツは少しにする。鉄分は控えめにする。
  • 慢性肝疾患と適度な運動
  • サプリメント・健康食品について、過剰にならない、異常を感じたらすぐにやめる。目的に応じて自分に合ったサプリメントを選び、その中でも厚生労働省許可のトクホマークのものを。ただし、病気で内服中の治療薬の効果に影響を及ぼすものも多数ある。
  • 薬は、その効能を知って飲用するように。ラクツロース製剤(モニラックR)は下剤ではありません。以上のような内容でわかりやすく解説をしていただきました。詳しく述べていないところは、以前の友の会の開催内容で述べていますので、友の会の会報やホームページで参照してください。このような日常生活の注意と食事療法、サプリメントに関しても当院で毎月開催している肝臓病教室で詳しく説明していますので、どうぞ遠慮なく参加されてください。

2010/10/16 肝臓友の会 勉強会:講演要約者 肝臓友の会 委員長 石井 邦英
2011/1/24 掲載
講師:久留米大学医学部 医学教育学教授 神代龍吉 先生


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