ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会32「肝臓病患者の助成金制度:2010年改定について」

肝臓友の会

32「肝臓病患者の助成金制度:2010年改定について」

薬害肝炎の訴訟裁判を契機として、平成20年4月よりB型肝炎およびC型肝炎のインターフェロン(IFN)治療に対して医療費助成制度が始まりました。 その内容は平成20年の勉強会の記録を参照ください。

それまでの制度では、助成の対象となるのは、B型肝炎およびC型肝炎の患者さんがIFN治療を保険適応で行う場合のみでした。その毎月の自己負担上限額各世帯の課税年額が65000円未満の場合は月10000円、課税年額が65000円以上235000円未満の場合は月30000円、課税年額が235000円以上の場合は月50000円の自己負担上限額でありました。この助成システムは7年間に1回(1年間)のみですので、1年を超えてIFN治療を行う場合は、その後の期間は助成の対象となりませんでした。 しかしながら、今年の4月からの助成金制度では、新たに適応拡大や自己負担金の軽減、条件が合致すれば再投与、延長投与の認定ができるようになりました。すなわち

  • B型肝炎に対する核酸アナログ製剤(商品名でゼフィックス、ヘプセラ、バラクルード)内服治療中の患者
  • C型肝炎インターフェロン療法後の再燃例に対する再治療
  • C型肝炎に対する48週間を超えて72週間までの延長投与
  • 自己負担上限額が月10000円と月20000円の2段階への軽減

などであります。当院でもこの新制度の元にインターフェロン療法を受ける患者さんが増えてきています。ただし、どこの医療機関でも助成が得られるのではなく、福岡県に届けて認可された専門施設でのみ、この助成制度で治療を行えます。この制度を受けるための書類は最寄りの保健所に準備してあり、医師の記入するもの、自分で記入するものがあります。当院は肝炎ウイルス検査の指定病院、肝炎治療の専門病院であり、難治群と言われる1群,高ウイルス量のC型肝炎患者さんにおいて、週1回のインターフェロンとリバビリンを併用した治療により、65%の完治率が得られています。

今後は、この新たな助成制度を有効に利用して、一人でも多くの患者さんを完治に導き、肝癌の撲滅に近づけたいと思っています。

2010/6/26 肝臓友の会 勉強会 講演要約
2010/7/30 掲載
副院長兼消化器病センター長 石井邦英


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