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肝臓友の会

21「肝硬変症の日常生活上の注意」…肝硬変の方の日常生活上の注意など

肝硬変症には代償性肝硬変と非代償性肝硬変とがあり、代償性肝硬変では肝臓の機能がほとんど正常の人と変らないので、特別な注意は必要ありませんが、定期的に検査(採血と腹部エコーの検査を3ヵ月に1回程度)を受けておけばいいと思います。もちろん、肝臓に悪いこと、飲酒、薬物、肥満等々を避けることは必要です。日常生活上の注意が必要なのは非代償性肝硬変です。
非代償性肝硬変では種々の合併症が併発してきますので、その合併症に対する日常生活上の注意ということになります。

1. 食道胃静脈瘤・門脈高血圧性胃症に対して

  • 定期的に内視鏡検査を行い、食道胃静脈瘤が破裂し易い状況にあるかないかを知る必要があります。
  • お酒を呑まない事です。お酒を呑むと血管の圧が高くなって破れ易くなります。
  • 血管の圧を下げる薬の内服や貼布を忘れずに。
  • 便秘を避けることも大事です。
  • 胃酸を上げないように薬を忘れずに服用したり、刺激物の摂取を避ける。

2. 腹水・浮腫・胸水・肝腎症候群

  • 足のスネの骨の内側、前面の部分を押して、モチを押したような感触があれば、浮腫があると考え、このような時には腹水や胸水が出てきているかもしれないと考えます。
  • 安静が大事です。安静にすると腎臓へ行く血液量が多くなり、尿が増えるからです。塩分制限も大事です。塩分を取り過ぎると身体の中に水がたまり、尿が少なくなります。もちろん水分の取りすぎは厳禁です。
  • 酒も身体の中に水がたまるのを強めます。二日酔いで翌日、顔がはれたりするのはその為です。
  • 利尿剤をきちんと医師の指示に従って飲んでください。

3. 肝性脳症

血液中にアンモニアなどの脳症を引き起こす物質が多くなって起こる意識障害です。アンモニアなどの多くは大腸の中で腸内細菌で作られ、肝臓や筋肉で処理されます。

  • 便秘しないように。(便秘すると腸内細菌が多くなり、腸内容物を分解してアンモニアなどの産生が多くなります)
  • この場合には、肉類などの高たんぱく類を食べ過ぎないことです。(アンモニアの発生源です)
  • 下痢やラクツロースを呑むと、アンモニアを低下させることができます。
  • 夜食をとることもアンモニアを下げることにつながります。夜食をとると、筋肉量の低下を抑えることができます。(肝硬変例では筋肉の萎縮している方が多いのです)

4. 非代償性肝硬変では種々の感染症(肺炎、尿路感染症など)にかかり易くなります。

  • 風邪を引かないように、うがいや歯磨きなど忘れないように。
  • おしっこを我慢しない。
  • 体を清潔に保つ。
  • 生の魚介類の摂取はなるべく避ける。などの注意が必要です。

 

2006/9/30 肝臓友の会 勉強会 講演要約
院長 安倍弘彦


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