ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会19「肝臓病の患者さんに胃カメラは必要か?」…門脈圧亢進症、食道静脈瘤などの説明とともに内視鏡の必要性について説明します

肝臓友の会

19「肝臓病の患者さんに胃カメラは必要か?」…門脈圧亢進症、食道静脈瘤などの説明とともに内視鏡の必要性について説明します

肝臓病の患者さんに多い門脈圧亢進症の説明をふまえて説明していきます。

門脈とは?

消化管の血流は門脈をへて肝臓へ集まります。 通常の臓器への血流は動脈で運ばれ静脈へ帰るが、胃・腸・脾臓・膵臓からの血液を集めて肝臓に流入している門脈とよばれる血管をへて、肝静脈をへて心臓へ戻っていきます。消化管で吸収された栄養分や、異物、毒物、病原性微生物なども肝臓へ集まり、ここで代謝されたり解毒されたりするフィルターの役割をしています。

門脈圧亢進症とは?

門脈圧は、正常な状態では、通常100~150mmH2O程度ですが、門脈圧が常に200mmH2O以上(水銀柱への単純換算では14.7mmHg以上)に上昇した場合を門脈圧亢進症といいます。門脈圧亢進症をきたす基礎疾患には肝硬変が約80%を占め、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎などの疾患があります。症状は食道・胃静脈瘤、腹水、肝性脳症、胃病変(門脈圧亢進症性胃症など)があげられます。

食道・胃静脈瘤とは?

肝臓を通って心臓に戻るはずの血液が、肝臓が硬いため、十分肝臓を通って心臓に戻ることができず、バイパス(迂回路)として食道・胃に出現する太い血管のことです。この太い血管がさらに拡張して赤みを帯びてくると、破裂して多量の血液を吐くことになります。食道・胃静脈瘤の症状は、基本的には無症状。そして、静脈瘤破裂による突然の出血が唯一の症状となります。そのため胃カメラなどでしか診断できません。食道静脈瘤初回出血の危険因子はChild Pugh’s 分類(肝機能障害の程度)、静脈瘤の大きさ、静脈瘤表面の発赤所見の有無で判断します。

何故、胃カメラが必要なのか?

基本的には無症状なため、静脈瘤の形、表面の色調を観察する必要性、特に、静脈瘤が破裂しそうであるか、サインをみるために胃カメラを用いた検査を行います。

食道・胃静脈瘤の治療法は?

内視鏡治療が第一選択です。

  • 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)… 特殊なゴムで静脈瘤を結紮する方法
  • 内視鏡的硬化療法(EIS)… 静脈瘤内に硬化剤(いわゆるセメント)を注入する方法
  • カテーテルを使う方法(孤立性胃静脈瘤に対し)… B-RTO(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)

 

2006/2/18 肝臓友の会 勉強会 講演要約
内視鏡室長 實藤俊昭


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