ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会17「C型肝炎におけるインターフェロン療法」…インターフェロン療法の変遷

肝臓友の会

17「C型肝炎におけるインターフェロン療法」…インターフェロン療法の変遷

現在、日本では年間3万8000人の人が肝臓癌で亡くなっています。この肝臓癌の原因の80%はC型肝炎ウイルスの感染によるものであります。そして、福岡県は佐賀県の次に肝臓癌の死亡が多い県であり、特に、甘木朝倉地区は、全国でも有数のC型肝炎ウイルスの汚染地区であります。
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染しますが、C型肝炎ウイルスが発見されたのは昭和63年から平成元年にかけてであり、昭和の時代に輸血、血液製剤、針灸などの医療行為があれば、感染している可能性があります。

C型肝炎ウイルスに感染すると7割の人が、急性肝炎から慢性肝炎に進行します。慢性肝炎になれば、自然に完治することはありません。そして、慢性肝炎になった人のうち半分が、20年から30年の経過で肝硬変に進行します。さらに、肝硬変まで進行して10年もたてばほとんどの人に肝臓癌の合併が生じてきます。C型肝炎の進行の早さは、一定ではありません。20代から30代の若い時には、ゆっくりと、50歳前後の年齢を過ぎると急速に進行する傾向があります。

もちろん、肝炎の程度を示すGOTやGPTの数値が高い人ほど早く進行しますが、それ以外にも、飲酒をする人、肥満がある人が肝硬変、肝臓癌になりやすいことが証明されています。すなわち、C型肝炎の人は禁酒が原則ですし、体重のコントロールも重要となります。

昔は「慢性肝炎の人は栄養あるものを食べて、安静にしていなさい。食後は横になりなさい」と言われていましたが、その考え方は誤りです。運動をすることそして、肥満の防止(標準体重の維持)が重要です。現時点では、C型肝炎を完治できる薬はインターフェロンしかありません。

すなわち、他のいかなる薬や健康食品などは、肝炎を軽減できることはあっても、完治できるものはありません。反対に、健康食品やウコンなどには、肝臓に障害をもたらす鉄が豊富に含まれているものがあり、肝炎の進行をもたらすものがあり、注意が必要です。

平成4年の3月からC型肝炎にインターフェロン療法が導入されましたが、その当時は、治療効果(完治率)は20%前後であり、どのような人にインターフェロン療法の効果があるのか、手探りの状態でした。その後、C型肝炎ウイルスのタイプとウイルス量により治療効果が予測できるようになりました。さらには、肝炎の進行度、年齢などによっても効果に差がでることが分かりました。

最近、5年間のインターフェロンによる治療法の進歩は著しく、現在は、難治群と言われる1群,高ウイルス量の患者さんにおいても、週1回のインターフェロンとリバビリンを併用した治療により、60%の確率で完治が期待できるようになりました。当院は、2000年1月から現在までに約300名のC型肝炎の患者さんにインターフェロン療法を導入し、大学病院や有名な病院の治療成績をしのぐ完治率をあげており、その成績を時々報告させて頂いています。

その要因の一つが、医師および看護師さん連携により、患者さんの状態が随時把握できること、肝臓病教室や肝臓友の会活動により、看護師、栄養士、薬剤師さらには患者さん本人が病気を勉強しており、治療について協力が得られやすいことが考えられます。これからも、甘木朝倉地区の患者さんのために、チーム医療の大切さをスタッフに啓蒙しながら頑張って行きます。

2007/5/17 肝臓友の会 勉強会 講演要約
内科長 石井邦英


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