ホーム病院案内当院の取り組み肝臓友の会07「肝癌の治療とフォロー」…肝臓癌の治療法について

肝臓友の会

07「肝癌の治療とフォロー」…肝臓癌の治療法について

肝臓に原発する悪性腫瘍には、主に肝細胞癌・胆管細胞癌・混合型肝癌(肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型)などがありますが、その90%以上は肝細胞癌です。
また、肝細胞癌のうちの90%以上は、B型またはC型の慢性肝障害(肝硬変または慢性肝炎)を伴っています。したがって、B型およびC型の慢性肝障害のある患者さんの経過を追うことで、肝癌の多くは発見できると言うことになります。

一口に肝細胞癌と言っても、そのベースにある慢性肝障害の程度や肝細胞癌の悪性度は様々です。治療を考える場合、肝臓の予備能力・年齢・心肺腎機能などの宿主側の因子と、肝細胞癌の悪性度・大きさ・数・脈管侵襲・肝外転移などの腫瘍側の因子を考慮する必要があります。

そのために、血液検査・エコー・CT・MRI・血管造影・腫瘍生検などが必要となってきます。また、肝臓は門脈と動脈による二重の血流支配を受けており、その70-80%は門脈の血流より栄養されます。しかし、典型的な肝細胞癌は100%動脈から栄養されます。このことを利用して、血管造影下CTによる診断や、肝動脈塞栓術による治療が行われます。

肝細胞癌の治療法は、現在手術(肝切除術)・マイクロ波凝固療法・ラジオ波熱焼灼術・エタノール注入療法・肝動脈塞栓術・肝動注化学療法・放射線療法・肝移植などが行われています。それぞれの治療法には、利点と欠点があり症例に応じてどの治療を選択するか、あるいはどの治療を組み合わせて行うかを決定する必要があります。

肝癌治療後の再発には、癌病巣の残存による局所再発や肝内転移と、新たな肝癌の発生(多中心性発生)があります。いずれにしても慢性肝障害を持つ患者さんと同様に、定期的な画像診断(エコー・CT・MRI)、腫瘍マーカー(AFP・AFP L3分画・PIVKA2)のチェックなどを行います。

そのほか、肝機能や食道静脈瘤など肝癌以外の要素のチェックも重要です。新たな肝癌の発生の予防には、肝障害の沈静化、すなわち、肝機能の正常かや改善が重要な因子の一つとなってきます。インターフェロンによるウイルスの排除や肝炎の沈静化、および、強力ミノファーゲンCによる肝障害の沈静化が現在行われています。

2002/9/28 肝臓友の会 勉強会 講演要約
消化器科長 梶原雅彦


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